最も難しいとされる夢の近未来技術の一つに、汎用的で強い人工知能があげられるだろう。
簡単に言えば、Ironmanの J.A.R.V.I.S.やスタートレックのヴィジャーのような、知性と人格を持つプログラムである。
しかしまだまだ技術的な壁が多く残っており、一説では2045年あたりには実現されると囁かれるが、そこに少しでも近づきたいと1950年代から開催され続けている人工知能のコンテストがthe Loebner Prizeだ。
2014年以来イギリスのブレッチェリー公園で開催されているこのイベント、最も人間らしいボットを決めようという趣旨のもと、世界中の開発者が挑んでいるが、実はまだまだ人間の審査員から一本取るには至っていないという。
というのも、少しずつコンテストのルールが変わってきており、その時代のルールで完璧に近いものが出てきそうになるたびに、より高度なルールに帰られているのだ。
コンテストが始まった当初は5分間の自由な会話を2種類のトピックに基づいて行うというものだったが、現在では所要時間が25分にまで伸びているという。
そんなコンテストが今年も行われていたわけだが、今回最優秀に輝いたのは、2013年にもグランプリに輝いていたMitsukuというボットだったという。
いかにも日本のアニメ好きな外国人が制作したというようなこのMitsukuボットだが、現在はPandorabotsという対話性重視のチャットボットを集めたプラットフォームトップページにて触れてみることができる。
彼女は数千の様々な会話パターンを日々受け取り適切な回答を返しているという。
このボットが2013年に最も人間に近いと思われる人工知能に贈る賞を勝ち取った時、iPhoneに搭載されるSiriは14位であったと言えば、彼女の精度の高さが少し伝わるかもしれない。
そして2016年の審査では90%という評価を得て(2位は78%)堂々たる1位を獲得している。
そんなMitsukuボットを実際に触ってみたのだが、率直な感想としては、りんなやシャオアイスといった昨今有名なチャットボットと同程度といった印象だ。1往復のやり取りについては、高精度な返答をすることができる。
このような雑談ボットに関しては、チャットボットの一つの将来像ではあるため、これからも目を離さず動向を追っていきたい。