シンガポールではe-Government(ネット政府)サービスを積極的に推進している。
バーチャルアシスタントのAsk Jamieという仕組みを導入し、市民からの質問を受け付けるという試みだ。
シンガポール情報通信開発庁(IDA)によれば、過去数年で市民からの質問は増加しているらしい。実際、2009—2012年の間、FAQにおける質問や検索が3倍に増加。また、これらの質問の多くは事前に回答が準備されている一般的な質問だったそうだ。
そこで、Ask Jamieを導入し、Webサイトからチャットで対応しようという試みが実行された。バーチャルアシスタントに寄せられる質問は幅広く、「本物ですか?」「どうしてタイピングがそんなに早いの?」「僕とデートしてくれませんか?」というものまであったそう。
徐々に、バーチャルアシスタントは目新しいものから便利なものへと認識が変化していき、Ask Jamieからの返答がどれだけ質問と関連があるかを図る関連性スコアは80%超に達した。さらに、チャットの最後にフィードバックを記入するのだが、ユーザーの60%以上がサービスを使用することで電話する手間が省けたと回答した。
Ask Jamieが市民にアピールしている利便性の一つは、異なる機関に関する質問であったとしても、一元的に情報を得ることができる点だ。例えば、情報が文部科学省に関するものでも、異なる省のWebサイトから聞くことができる。これまで9つの政府機関がAsk Jamieを導入しており20機関に増加予定とのことだ。
なぜJAMIE?
なぜバーチャルアシスタントをJamieと名付けたのか?女性のアバターは誰なのか?という質問に対して、シンガポール政府によれば、「覚えやすくてシンプルなもの」、「フレンドリーで親しみを感じさせる名前」が候補だったとのことだ。
アバターに関しては、様々な画像データベースを検索し、親しみが持てることをポイントに現在の顔を採用した。
チャットボット
現在、Ask Jamieの拡大版としてチャットボットに取り組んでいるそうだ。Eメールのようなコミュニケーションプラットフォームに比べて、モバイルチャット環境のほうが快適に感じる人口が存在すると言う。
そのストラクチャーはQuartzのニュースアプリに似ていて、それぞれの質問が複数の選択肢を促し、ユーザーの選択によって違う返答が返すような仕組みを構想しているそうだ。
このチャットボットとAsk Jamieの違いは、ボットが「文脈を理解するエンジン」であるため、曖昧なユーザーの質問を理解することに優れる。例えば、質問の中でユーザーが「P1」と入力すると、ボットはユーザーの質問がPrimary1の意味なのかPhase1なのかを理解する。
バーチャルアシスタントやチャットボットのようなアプローチをしている政府は少ないため、シンガポール政府は間違いなく非常に革新的な取り組みを実施している。ただし、「チャットボットの使用はまだ非常に初期の段階で、消費者経験は限られている。」とあるアナリストは言う。
「トライ&エラーを繰り返し、新しいユーザーインターフェイスを通じて交流の仕方を学んでいくだろう。」