チャットボットで花束を:1-800 Flowersの取り組み

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2016年4月のF8会議で、フェイスブックのメッセンジャーがチャットボットを発表した際に、フェイスブックCEOのザッカ―バーグは1-800 Flowersを事例として取り上げ、こう言った。「このサービスを愛しているんだ。皮肉なんだけど、1-800 Flowersに注文するためにもう2度と1-800 Flowersに電話しなくてもいいんだよ。」

1-800 Flowers

インターネットでフラワーギフト配達を展開する1-800 Flowersについてはそのビジネス哲学について邦書が出ており、詳しくはそちらを参照されたい。Eコマース黎明期から顧客志向を貫き、さらに新たなテクノロジーに挑戦する先進的な企業と言えるだろう。

F8での発表から既に2か月が過ぎたが、1-800 Flowersの社長、クリス・マッカンによれば花束を注文できるチャットボットは引き続き好調のようだ。現在、チャットボットの注文の70%以上は新規顧客によるものとのことだ。アーリーアダプターは通常の顧客層と比較して若い傾向にあるという。

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「新規顧客はすでにFBメッセンジャーのプラットフォームを使用しているので、このサービスに移行しやすい。花の注文は1分以内で完了するくらいスムーズに注文できるんだ。」と彼は言う。

注文数も増えている。1-800 Flowersが採用する3つの新しいAIツール(チャットボット、アマゾンAlexaとの統合、そしてIBM Watsonのオンラインコンシェルジュサービス)が数万人規模のユーザーを獲得しているという。

3か月間にわたる開発を経て、現在のチャットボットには2つの機能がある。1つは顧客の注文をこまめに取る点、もう一つはバーチャルのコールセンターで待機するヒトのカスタマーサポートにエスカレーションする点である。時期によるが、ヒトによっても1,000~3,500ぐらいのメッセージがあるそうだ。

他のチャットボットが自由な雑談ができる一方、1-800 Flowersはシナリオに沿った会話を行う。複数選択肢から正解を選択するテストに似ているかもしれない。マッカンが言うには、これは意図的にユーザーフレンドリーに設計した結果とのことで、「我々の最大の関心は、新しいチャネルによって得られるユーザー体験がどのようなものかに尽きる。」とつけ加えた。

現時点ではこのチャットボットは完璧とは言い難い。例えば、配達日を変更するというシナリオからはずれたら、残念ながらチャットボットは話についていけなくなる。時には、注文をキャンセルするために、最後まで会話を続けたにも関わらずわざわざ最初から会話を始めないといけないこともしばしば起こる。

しかし、これらの欠点を抜きにすれば、消費者からの反応は上々と言える。チョコレートブランドのFannie Mayや、グルメギフトカードのHarry&Davidなど、他のブランドもチャットボットを計画しているようだ。

少なくとも現時点においては、1-800 Flowersの取り組みは好意を持って受け止められており、会社側では消費者がどれだけボットを快適に感じているか、驚きを隠せないらしい。「特にミレニアル世代の消費者は、ヒトよりもロボットと交流したがるのかもしれない。」

上記の取り組みはやがて、1対1のマーケティングに向かっていく。ユーザーがどのように商品を購入するのかリアルタイムデータを得る方法にもなり、広告宣伝へのフィードバックにつながる。

ビジネスは話をすることだけでなく、聴くことも大切だ。「ユーザーは明らかにメッセージプラットフォームに時間を費やしており、彼らの向いている方向に自分たちも向かうべきなんだ。」と彼は述べている。