チャットボット銀行

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銀行の口座情報確認や少額の振り込みなど、消費者にとって利便性が重視される業務を効率化できたら便利だろうと誰しもが思うだろう。

Kasisto(カシスト)の人工知能プラットフォームは、DBSと連携し、インドで携帯電話のみでアクセス可能な銀行を運営している。既にインドではチャットボットがすべての消費者の要求に答えているという。

Digibank

現在、インドでは、モバイル端末を通じてのみアクセスできる銀行口座を開くことが可能だ。この銀行はデジバンクと呼ばれ、チャットボットがスタッフとなりチャットを通じて送信される何千もの質問に答えることができる。

デジバンクは物理的な店舗を持たず、すべてペーパーレスで運用がなされている。生体認証やAIを用いて効率的に銀行業務を行う新しい試みであるといえる。

「DBSにとって、Digibankは潜在的なgamechangerであると考えています。インドのような巨大な地域における当社のリーチを拡張するためにはこのような新しい試みが旧来のやり方を超えるために必要なのです」

DBSのCEOであるPiyush Gupta氏はこのように述べDigibankの試みに期待を寄せている。

「カシストの会話AIプラットフォームにおいて、我々は顧客のために、よりインタラクティブかつ直感的にやり取りを行うことができる技術を採用しています。」

カシスト

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カシストはニューヨーク発のスタートアップで、アップルのSiriを作り上げたSRI Internationalからスピンオフして設立された。カシストは機械学習の技術に強みを持ち、銀行業務において顧客から尋ねられる何百万もの質問でKAIと呼ばれる人工知能プラットフォームを訓練した。

「そこらへんにある多くのボットは、残念ながら賢くないボットだと思われるものばかりだ。簡単に機能不全に陥るし、文脈と全く関係のない質問が出ると、そのようなボットはどうして良いかわからない。我々のボットは、本物の会話を作りだすことができる非常にユニークな能力を持つものだ。」とカシストの製品副社長であるドロール・オレンは言う。

フェイスブックはメッセンジャーのプラットフォームにデジタルアシスタントを統合したときに、チャットボットを公表した。しかしながら、研究者はチャットボットに会話をさせる能力を完璧には実装できていなかった。マイクロソフトはTayと呼ばれるチャットボットを登場させたが、それはツイッター上で人々の会話を学習するため、ボットはインターネットですぐに汚い言葉を学んでしまった。

チャットボットを通じて、ユーザーはKAIによる銀行ボットに、カスタマーサービスに関して尋ねることができる。また、「ジェニファーに昨日の夕食分25ドル支払って。」のような命令をボットに与えることができ、ボットは詳細について深堀する質問を投げるという形で対応する。もし送金が当座貸越の場合は、ユーザーに警告を通知し、口座間でお金を動かしたいかどうか尋ねてくれる。

「ほとんどのシステムはルールに基づくシステムで支払いへと導く。」とオレンは言う。「しかし私たちのシステムでは、「Venmoを使って」とただ言うだけでなく、文脈と全く関係のないことまで言うことができる。システムは少し戻って「どちらの口座から支払いをしたいですか?」と尋ねることができる。

銀行業務上で顧客との本物の会話例を会得しているため、KAIは顧客が尋ねているトピックが何か、素早く統計分類を使用して理解する。KAIの強みの1つは、一度に複数の会話チャンネルを楽しむ能力があるということだ。ユーザーがボットと会話をしていて、その間に全く関係のない質問をした場合、ボットはその質問に答えてからディスカッションの元のトピックに戻ることができる。KAIは異なる意図を認識し、まるで人間のようにそれらの意図を問題なく分類することができる。
シリコンバレーソフトウェアグループのマネジングパートナーであり、SpeakerTextの創設者であるマット・スワンソンは、チャットボットを新しいコミュニケーション媒体だと説明する。オンラインにある旧来の銀行は、顧客が電話もしくはライブチャットでカスタマーサービスの代表に辿り着くのさえ大変だったという。

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しかしボットは、他の金融機関にも徐々に入り込んでいることが知られている。例えば、RBSは顧客の基本的な要求に答えるために「Luvo」と呼ばれる人工知能を使用する準備をしている。全てをボットが回答する訳ではなく、複雑なカスタマーサービスの質問は人間に伝えられるようだ。Bank of Americaでも、顧客はフェイスブックのメッセンジャープラットフォームでボットと交流することができる。

デジバンクはその中の取り組みでも、最もチャットボットに多くを頼っている銀行と言えるだろう。顧客の要求の流れを邪魔することなく、一連の流れに応じて質問に対する回答を探すことができる。

スワンソンによれば、音声のかわりにテキストを使用していることもまた、ボットが洗練された行動を達成することができる一つの特徴であるらしい。

「テキストは声よりも機械学習の問題が解決しやすいんだ。デジタルとアナログの違いほどの差があるよ。テキストを基本とした会話では、非常に明白な入力のセットがあるからね。テキストは、機械学習や自然な画像処理アルゴリズムで処理する上で、非常にクリアな開始点となる。」とスワンソンは言う。

今後カシストは、資産管理のように銀行に関連する業務を徐々にKAIに適用する計画だ。カシスト自体、特に業務を限定せずどんな産業でも適用できるように組み込まれているため、関連した質問でAIを訓練することで幅広く運用されていくことだろう。