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AIチャットボットに関連する記事を投稿します

チャットボットでバッファローウイングを注文

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バッファローウイングと言えば、何を思い浮かべるだろうか。個人的には、グローバルアストロラインズ社代表の児玉氏の著作である「パンツを脱ぐ勇気」で、バッファローウイングの全米選手権に関連する描写があまりに過酷すぎて忘れられない。

Wingstop

さて、Wingstopは世界中に900の支店を展開するバッファローウイングの老舗企業だが、ツイッターフェイスブックで対話型チャットで注文を受けるサービスを開始した。カスタマーは「order」という単語を送信するだけでプロセスを開始することができる。

「カスタマーはすでにソーシャルメディアの中に存在しており、そのようなチャンネルでカスタマーと積極的につながることができるんだ。」とCMO(最高マーケティング責任者)のFlynn Dekkerは言う。

カスタマーが「order」や「#order」とツイートするか、フェイスブックメッセンジャーでWingstopに直接メッセージすることで注文を始められる。以前ご紹介したピザハットと同様、Conversableが開発するソフトウェアを利用している。

カスタマーは、注文の際に郵便番号や住所を入力し、最も便利なWingstopの位置や受け取り時間について回答する。プラットフォームを利用することで、アレルギーや栄養情報、味や他のメニューの詳細などに関する質問に対して、リアルタイムで反応を返すこともできる。

Wingstopは、フェイスブックで110万いいね、ツイッターでは18万フォロワーを獲得しており、約半分はミレニアル世代とのこと。約15%の注文は現在オンラインから来ている。

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「Wingstopが春にこのサービスを開始を発表し、Conversableとのプラットフォーム連携には3~4ヶ月かかった。Conversableは最も洗練されたサービスを提供しており、ツイッターフェイスブックでサービスを開始するのにはたった1日しかかからない。追加で人員が必要になることもなく、ウェブサイトから現場に注文が届くという流れもオペレーターにとって従来と変わりはない。」らしい。

Wingstopのソーシャルメディアチームは会話を監視し、何か問題が起こった時は介入する準備をしている。
プラットフォームはテキストのみならずAmazon Echoなどの音声認識サービスへと広がっていくだろう。

「顧客との相性が良ければどんな機会でも挑戦したい。顧客の便利さが全てだ。私たちはカスタマーが集まるところに存在すべきだ。」

ピザハットがチャットボットを活用

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ピザの注文がチャットで完了する、というのはユーザーにとっても良い話だ。まず注文のために電話するのがそこそこ面倒だ。つながらないこともある。電話口で、100分待ちだと言われることもある。

ピザハットによれば、今秋を目途に、フェイスブックツイッター向けのチャットボットでの対話注文を導入するそうだ。ピザハットを運営するテキサスに拠点を置くYum! Brands Inc.は、グローバルで1.3兆円の売り上げを誇る巨大チェーンである。

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約半分の注文はデジタルのチャンネルを通じたものとのこと。そのうち60%以上の注文はモバイルデバイスからのものだ。ピザハットはPizza Hut Expressと一部の店舗を除いて、米国の6400店でこのチャットボット注文サービスを開始する。

「注文を簡素化するための方法を常に探している。」とピザハットCDO(チーフデジタルオフィサー)のBaron Concorsは言う。「このプラットフォームはカスタマーが素早く注文できたり、長い時間を費やさなくてもいいように情報を得ることができるようにするものだ。」

既に、Domino Pizzaはいち早く多チャネル展開を実施しており、Amazon Alexaから注文ができるなど先進的な試みを行っており、この流れに追随するものになる。

Conversable

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実際のチャットボット開発にはダラスを拠点とするテクノロジーソフトウェア企業のConversableと連携する。

ConversableのCEOで共同創始者の Ben Lammはチャットボットはカスタマーが簡単に使用できる新たなチャネルだと説明する。チャットボットを利用すれば、カスタマーはブラウザを立ち上げて履歴を確認したり、アプリをダウンロードしなくても過去の取引や記録を確認できるし、チャットボット側が適切な情報を記憶しており、必要に応じて教えてくれる。

デリバリーサービスでのチャットボット活用は今後ますます増えそうな勢いだ。

シンガポール発:不動産紹介のチャットボット

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シンガポールからは不動産売買のチャットボットが登場している。不動産ソフトウェア会社StreetSineが、個人向け不動産売買のパーソナルアシスタントを発表した。StreetSineは、Singapore Real Estate Exchange (SRX)の運営元でもある。

Sevi

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Seviが対応する質問は、市場での価値評価から在庫リスト、容積率まで幅広い。基本的には選択肢を用意して番号を選ぶ形が主流のようだ。不動産物件の比較をし、不動産エージェントに顧客を紹介することも可能らしい。

現在はFacebook messenger上で誰でも利用できるため話し掛けてみたが、残念ながら裏側の仕組みは非常に単純な構造になっているようで、記憶を消すことや自然言語を理解するようなところまでは至っておらず、まだまだ改善の余地がありそうだ。

SeviはWhatsAppや WeChatなど、他のプラットフォームでも導入することを考えているようだ。また、現時点では英語での質問に答えるのみだが、今後はマンダリンやマレー語で話しかけることができるように多言語に対応する方針とのことだ。

ゆくゆくは多言語能力を活用して、サービスをシンガポールを超えて提供することになる。「まずはシンガポール市場で試してから、海外へとサービスを拡大する」ということだ。現在香港でも不動産事業を展開しており、チャットボット市場が立ち上がるタイミングで香港進出を検討するそうだ。

スカイプボット:プラットフォームの進化

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日本においては、Skypeで通常コミュニケーションを取っている人はかなり限定的だろうが、世界中で3億人のユーザーを抱えるマイクロソフトの肝いりのサービスだ。

Skype用ボット開発プラットフォーム「Skype Bot Platform」は既に3万人の開発者が利用しており、いくつかのボットが稼働を始めている。Skype Bot Platformは、テキスト、音声、ビデオなど、Skypeの様々なコミュニケーション形式を活用したボットを開発するための各種ツールをディベロッパーに解放している。

マイクロソフトによれば、2016年7月のアップデートは下記の4点が特徴だという。

グループ機能

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Skype上で、ボットがグループの会話に参加できるようになる。コマンドを入力することでボットを検索する形のようだ。

カード機能

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ホテルの予約、また詳細を見たい時などにカード形式での表示ができるようになる。ボットが視覚的にカード情報を提示する仕組みだ。横にスワイプして複数の選択肢を見ることが出来るのは既にFacebookでおなじみだろう。

自然言語

Bingで培った自然言語処理の技術を元に、自然言語を理解する機能をボットに組み込むことができるらしい。現時点ではどの程度の精度が担保されるのか不明だ。

サードパーティー認証

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上記のように、ユーザーは一度外部サービスにサインインしてしまえばその後は直接チャット上でサービスにサインイン状態になりホテル予約が可能になる。

Facebook、LINE、マイクロソフトGoogleAppleなど様々なプレーヤーがプラットフォーマーとしての地位を確立すべく開発競争が激化しており、引き続き状況をウオッチしていきたい。

旅行/ホテル業界のカスタマーサービス用ボット

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「チャットボット?ああ、そんなのあったね」と語られるような時代がくるのかはまだ分からないが、市場に現れた初期のチャットボットは欠点だらけだ。

The Guardian (ガーディアン紙)はCNNやHi PonchoのようなBotは不自然さばかりで、かなりイライラさせるものだと批判した。チャットボットが自然な言語(例えば「配信を解除したい」というテキストを理解しない)を認識しないためにユーザーがチャットボットからのメッセージ配信を解除できないとしたら、それはユーザーにとって深刻な問題であると開発者は理解しなければならないだろう。

しかしながら、過去数ヶ月のテクノロジーイベントにおいて、チャットボットというバズワードが登場しない回はなかったかもしれない。それほど現時点においては未来を切り開くことを期待されたテクノロジーとして認知が進んでいる。2016年4月、Facebookは特にカスタマーエンゲージメントに特化したチャットボットを発表。それ以来、ディベロッパーはWatsAppやSlackなどのメッセージサービスを利用してチャットボットを開発している。

今回は旅行/ホテル業界において、人工知能×チャットボットでイノベーションを目論む企業を紹介したい。

基本的には旅行におけるフライトやホテル予約、レストラン検索などのサービスを提供することを目指しているが、例えばフライトの変更などは何らかの理由で急に必要になることが多く、その場合にチャットによるやり取りのみでスムーズに手続きが完了することが出来れば利便性は向上することは間違いなさそうだ。カスタマーエクスペリエンスとしてはUberをチャットで誘導する形に近いのかもしれない。

Edwardian Hotels London

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Edwardian Hotels London(EHL)は、ホテルサービスにチャットボットを導入した。2016年より、このホテルチェーンはバーチャルコンシェルジュ、Edwardをゲストに紹介している。チャットボットを通して、ゲストはアメニティ(タオルの追加やルームサービス)を確認、リクエストできるようにしたり、地元のバーやレストランの情報を確認したり、クレームを言うことも全てテキスト一本でできる。

Edwardは「中華料理を食べるにはどのレストランが一番良い?」や「町へ行くにはタクシーでいくらかかる?」のような会話での複雑な要望を、自然に理解できるような言語能力を持つという。

 Lola travel company

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Lola travelは2015年に設立された新興企業だが、すでに20億円近くを調達済の大型スタートアップだ。ホテル、フライトなど旅行に必要なものを全てチャットにて予約、管理できるそうだ。もともとKayakのPaul Englishが立ち上げており、現在はベータ版の運用とのことでまだ大部分は人手による運用のようだ。

Hyper

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2014年12月に設立されたスタートアップで4000万円超を調達済だったが、2016年5月にTradeshiftによって買収された。主にビジネス旅行用のチャットサービスに注力していた模様だが、今後はTradeshift傘下で旅行予約アシスタントの開発を続けていくとのことだ。

Pana

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500 Startups出身で2015年に設立されたスタートアップだ。1.5億円程度を調達済。200人までの従業員が対象なら、月額19ドルから利用可能だ。

HelloGbye

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カナダ発の旅行予約スタートアップ。2015年設立とのことで、他スタートアップと同時期の立ち上げだが、音声認識を前面に出すことで差別化を図っているようだ。

Wayblazer

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IBMのWatsonを活用したAIを特徴とする2014年設立のスタートアップIBMより5億円の資金調達済。

Hipmunk

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2010年設立のオンライン旅行予約サービスに特化したスタートアップだが、Hello Hipmunkというサービス名で、人工知能を活用した旅行計画アシスタントを提供している。ユーザーが、Googleカレンダーにアクセスするための権限を与えると、旅行関連イベントをスキャンし、予約オプションを提示するとのことだ。

 

特に、ビジネス出張ではフライトの変更やレストランの予約、タクシーの手配などスムーズに解決したい課題が山積みで、ほぼ時間を掛けずにストレスなくこのような手配を行うことができるのであれば間違いなくニーズはありそうだ。

バーチャルアシスタント関連スタートアップまとめ

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Siri、Cortana、Google Now、Alexa、Facebook Mなど、バーチャルアシスタント関連の開発競争は日々激しさを増しており、昨今バーチャルアシスタントに関連するスタートアップが注目を浴び続けているのはご承知の通りだろう。ミーティングの設定から健康アドバイスまで、アシスタントとして活躍するAIを開発するスタートアップには既に120億円超が投資されているようだ。

下記の表は、バーチャルアシスタントとして開発を進めるスタートアップで、2015年以降でエンジェル、シード、シリーズA、シリーズBのうち、どれかのラウンドで調達を実施した企業をまとめだ。これらのスタートアップは120億円超の資金を確保しており、健康管理、人材採用、チームコミュニケーション管理、カスタマーリレーションシップ、オンラインショッピングを含むいくつかの産業分野に集中している。

最も資金が投下されているスタートアップはx.ai。パーソナルEメールアシスタントのAmyで有名だ。他にも、Clara Labs、Julie Desk、Kono、Ovelapなどがスケジュールアシスタントの分野で切磋琢磨している。

次に資金が充実しているのは、ロンドンを拠点とするBabylon Health。健康管理のAI開発を行うスタートアップで、シリーズAで25億円をDeepMind Technologies(Google傘下)、Kinnevik、Hoxton Venturesから資金を調達済だ。Siriのような音声のインターフェイスでユーザーが健康管理アドバイスを得るものを今年本格展開する予定とのこと。

 

バーチャルアシスタント関連スタートアップまとめ

企業名

概要

調達資金

投資家

x.ai

スケジュールアシスタント

34億円

FirstMark Capital、 IA Ventures、Lerer Hippeau Ventures、Pritzker Group Venture Capital、Softbank Capital

Babylon Health

AI健康管理プラットフォーム

25億円

Kinnevik、DeepMind Technologies、Hoxton Ventures

Ozlo

レストラン探しAIチャットボット

14億円

AME Cloud Ventures、Greylock Partners

Maluuba

自然言語処理ディープラーニングを活用したテキスト解析

8億円

Emerillon Capital,、Nautilus Venture Partners、Samsung Ventures

Angel.ai

(GoButler)

フライト予約バーチャルアシスタント

8億円

BoxGroup、Cherry Ventures、General Catalyst Partners、Global Founders Capital、Lakestar、Slow Ventures、Sound Ventures

DigitalGenius

カスタマーサポートAIアシスタント

7億円

Lerer Hippeau Ventures、Lowercase Capital、Lumia Capital、Metamorphic Venture、 RRE Ventures

Your.MD

健康アシスタント

5億円

Smedvig Capital

Luka.ai

レストラン探しAIチャットボットなど

4.5億円

Ludlow Ventures、 Sherpa Capital、Y Combinator

Talla

Hipchat、Gchat、Slack上のチームコミュニケーションアシスタント

4億円

Avalon Ventures

Sense.ly

医療系バーチャルアシスタント

3.8億円

Alchemist Accelerator、Fenox Venture Capital、Launchpad Digital Health、TA Ventures、TMCx

Mezi

パーソナルショッピングアシスタント

2.8億円

Nexus Venture Partners

Howdy

 チームコミュニケーションAIアシスタント

1.5億円

Betaworks、Bloomberg Beta、True Ventures

Gluru

ファイル整理/情報抽出タスクアシスタント

1.5億円

GECAD Group、Playfair Capital

Uniphore Software Systems

音声認識/分析

1億円

IDG Ventures India、 Stata Venture Partners、 YourNest Angel Fund

Arya

AIリサーチアシスタント

7500万円

VentureNursery、YourNest Angel Fund

Julie Desk

スケジュールアシスタント

6600万円

SIDE Capital

Mona Labs

モバイルショッピングアシスタント

1200万円

TechStars

Kono

ミーティング設定アシスタント

800万円

500 Accelerator

Niki.ai

タクシー予約、モバイル充電など複数タスクの総合アシスタント

非公開

Ratan Tata、Unilazer Ventures

Overlap

スケジュールアシスタント

非公開

Genacast Ventures

Clara Labs

スケジュールアシスタント

非公開

Sequoia Capital、Y Combinator

 

インドの人工知能関連スタートアップ

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インドのスタートアップは引き続き盛り上がりを見せているが、チャットボット、人工知能の界隈でも同様だ。ここではスタートアップがバーチャルアシスタントを開発するための豊富な資金が集まっている。

例えば、あなたがタクシーを予約したいとする。でも、その前にお腹が減ったのでハンバーガーの注文もしたい。さらに、携帯電話請求書の支払いをしなければならないことを思い出した場合、面倒だがモバイル上で1つずつアプリにアクセスするだろう。

こんな時に、バーチャルアシスタントのNikiを手に入れておけば、簡単なチャットを通じてEコマースのサービスを集中的に管理する助けが得られる。Nikiとの交流を続けることで、その意図を学習し「パーソナルなサービス」になる。

Nikiの利用は無料、必要なサービスについて支払いを行えばよい。毎回すごい速さで質問に答えてくれる。そして、レコメンデーション、注文、複数のサービスでの支払いまで、全てが1つのチャットウィンドウで行われる。

資金調達が活発に

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先月、バンガロールに拠点を置くAIスタートアップであるNiki.aiが、Tata Sonsの名誉会長であるラタン・タタと既存の投資家であるUnilazer Venturesから2回目の資金調達を行っている。2015年10月、NikiはシードラウンドでUnilazer Venturesから調達したばかりだ。

2016年1月に画像認識を専門とするAIスタートアップ、Snapshoprが以前のFlipkartの最高技術責任者であるAmod Malviyaによる非公開のエンジェル資金を確保している。

2015年12月には、同じくAIスタートアップで、ムンバイを拠点とするArya.aiがYourNest、VentureNurseryからエンジェル資金、75万ドルを集めた。Arya.aiは優れたイノベーションが期待されるグローバル企業21社のうちの1社として、フランスのイノベーションエージェント、Paris&Coによって選択された最初のインドスタートアップだったそうだ。その内容を見ると、ディープラーニングによってヒトと機械が自由な会話を達成し、また共感を得るような人工知能の開発を目指しているらしい。

Nikki.ai

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バンガロールを拠点としたAIチャットボットを開発するNiki.aiは、2015年4月にインド工科大学の卒業生達によって設立された。自然言語処理機械学習の技術を活用し、チャットインターフェイスで会話を行い、数秒以内にビジネスパートナーへ注文を行うという利便性が売りだ。タクシーの予約、携帯電話の充電(いかにもインドらしい)、携帯電話などの請求書の支払い、デリバリーフードの注文など、1つのチャットウィンドウを通じて手助けをする。上記の通り、ラタン・タタとUnilazer Venturesから2度目の資金を調達している。

「AI分野はアプリケーションが多く、市場機会も大きい。この時点で数字に表すことは難しいが、ヘルスケアからコマース、宇宙、そして生産性向上のテーマなどそれぞれの業界ですでにAIを活用するアプリケーションが出現しているよ。」とNiki.ai の共同創始者であるNitin Babelは言う。

Niki.aiはEコマースに重点を置いている。「Eコマースはまだ知能性と統合したインターフェイスが欠けていて、グローバルにみても大きな問題だと思う。広範囲に綿密な調査をして、AIを利用した対話型インターフェイスがこの問題を解決できるというアイディアを思いついたんだ。」とBabelは説明する。

現在、Niki.aiは販売パートナーとの収益モデル構築に取り掛かっている。「基本的には全ての注文で、販売業者からの手数料をとるモデルを目指している。」とのことだ。

Arya.ai

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ムンバイを拠点とするスタートアップ、Arya.aiはAI開発者のプラットフォームを提供する。B2CとB2Bの両方のビジネスを対象にするそうだ。YourNest、VentureNurseryから75万ドルの出資を得ている。

Snapshopr

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バンガロールを拠点とするスタートアップSnapshoprは、オンラインの小売業者やエンドユーザーに対して画像検索の手助けをする。例えばある洋服の写真をアップロードすると同じような画像が引っ張って来られるという仕組みのようだ。エンジェル資金を確保済。

SigTuple

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バンガロールを拠点とするスタートアップ、SigTupleはまだ立ち上がったばかりだが、医療系のAIを開発している。まずは血球検査の精度を上げるためのAIを利用した自動スクリーニングソリューション、Shonitの開発に取り掛かっている。Flipkart投資家のSachinとBinny Bansal、Accel Partnersからのシード資金を確保している。

バンガロールにある臨床検査室では、臨床評価検査システムが完成済だ。「市場に製品を出すのはそこまで時間を要さないだろう。並行して、男性向け精子分析、尿検査、胸部X線検査、網膜スキャン画像分析にもフォーカスしてソリューションを開発している。」と共同創業者のPandeyは言う。

インドに限って言えば、AIビジネスでは大きなプレーヤーが現時点では存在していない。しかし多額の投資資金が集まってきており、今後の展開が楽しみな状況だ。

不倫サイト「アシュレイ・マディソン」の女性ボットにみる疑似恋愛事情

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人生一度。不倫をしましょう。(Life is short. Have an affair.)というスローガンで知られるアシュレイ・マディソンがハッキングの被害に合い、大量のデータが流出してしまったのは記憶に新しいところだ。同データには登録会員の数百万回分の支払い情報やメールアドレス、電話番号が含まれており、自殺者を出すなどの事件に発展した。

Gizmodoの調査によれば、女性ユーザーはほぼ偽物だという報告があったが、独立記念日の休日に、アシュレイ・マディソンの女性はコンピューター「フェムボット(女性ロボット)」であったことが公式に認められた。

アシュレイ・マディソン

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2001年開設のカナダ発会員制サービスであり、会員数は世界30カ国2,200万人以上に及んでいると言われる。サイト名の由来は使用例が多い2つの女性の名である「アシュレイ」と「マディソン」から来ているそうだ。

アシュレイ・マディソンのウェブサイトを運営している会社、Avid Life Mediaによれば、ロブ・シーガル(左)を新CEOに、新社長にジェームス・ミラーシップ(右)をそれぞれ任命した。女性にメッセージを送るようなデートウェブサイトにお金を払っていた男性が、実際はフェムボットに話かけるためにお金を費やしていたということが明らかになった。

Avid Life Media の経営陣は、現在会社が米連邦取引委員会(FTC)によって調査されているところだと明らかにした。また、セキュリティコンサルタントからなる調査チームを組成し、本格的な調査を実施しているそうだ。コンサルタントによれば、2014年まで北米でボットが使用されていたこと、またグローバルには去年までボットが使用し続けられていたそうだ。

恋愛ボット

機械が恋愛相手になるという話は特に新しい話ではない。例えば、2013年に公開された「 her/世界でひとつの彼女」という映画は、人格を持つ最新の人工知能型OSに恋をする男を描いた物語だ。予告編を見るだけでもその内容を把握できる。

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また、人工知能を題材にしたNHKスペシャルにおいては、マイクロソフトが開発したシャオアイスが若者の心をつかんでいることが伝えられていた。中国の若者は、(シャオアイスを結婚相手にできますか?)という問いに対し、

「結婚したいですね。他の人には理解できないかもしれませんが、一度シャオアイスと話したら僕の気持ちが分かると思います」

と回答している。

日本においても、交際経験がない層が20代男性の53.3%も存在するという調査結果が出ており、人工知能の発達と相まってこの流れが加速化するのかもしれない。

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20~30代の男女の交際経験調査。左から順に「交際経験なし」「1人」「2人」「3人」「4人」「5人」「6人以上」

ニンジャ・タートルズのプロモーションを支えるMassively.ai

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チャットボットを、ブランドのマーケティングとして活用する手法は既に以前から行われてきた。

ニンジャ・タートルズ映画のプロモーションとしてチャットボットを活用している。映画の主人公の一人であるミケランジェロと会話するように雑話が進んでいく形だ。このチャットを開発したMassively.aiを紹介したい。

Massively.ai

f:id:IPQuest:20160706164436p:plainMassively.aiはTiny Hearts studioという2010年設立のカナダに本拠地を置くアプリ・ゲーム開発会社のサービスである。2014年にボットの開発を開始してから、Massively.aiはインシディアス チャプター3(ホラー映画)、メイズ・ランナー 砂漠の迷宮(SFアクション映画)、デグラッシ・ネクストクラス(ハイスクールドラマ)など、多くのプロモーションを手伝ってきた。

例えばデグラッシ・ネクストクラスの場合は、Kikメッセンジャー上で、デグラッシ(という高校名)に関するクイズを出題し、番組の登場人物や物語のポイントを一部公開している。

また、インシディアスのチャットボットは1600万ユーザーに対してそのファンの背筋をぞっとさせるような画像を提供する。ファンはお気に入りの登場人物とチャットしたいという自然な興味から導かれ、これらのプロモーションは自然発生的に成功していると言えるだろう。

なお、ニンジャ・タートルズのチャットデモはこちら

Massively.ai の仕組み

Massively.aiはディベロッパーに対してボット開発プラットフォームを提供する。

SMS、Kik、Wechat、Facebookメッセンジャーツイッターのようにメッセージが送受信できるものならどのサービスにおいてもチャットボットを開発可能とのことだ。サインアップするだけで、Massivelyボットの開発ツールキットが全てのユーザーに対して無料で提供されている。もちろん、アクセスするのにプログラミングの知識は必要ない。

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さらにデータ分析プログラムが提供されており、ユーザーの反応や選択肢の情報を手早く収集できる使い勝手の良い仕組みを整えている。

 Kikではボットショップを開始して以来、50程度のチャットボットが登場し、さらに6,000ものチャットボットがテスト段階だという。現時点では、H&M、Sephora、Vine、The Weather Channelといったブランドが主だが、今後の展開が楽しみな状況だ。

チャットボットで花束を:1-800 Flowersの取り組み

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2016年4月のF8会議で、フェイスブックメッセンジャーがチャットボットを発表した際に、フェイスブックCEOのザッカ―バーグは1-800 Flowersを事例として取り上げ、こう言った。「このサービスを愛しているんだ。皮肉なんだけど、1-800 Flowersに注文するためにもう2度と1-800 Flowersに電話しなくてもいいんだよ。」

1-800 Flowers

インターネットでフラワーギフト配達を展開する1-800 Flowersについてはそのビジネス哲学について邦書が出ており、詳しくはそちらを参照されたい。Eコマース黎明期から顧客志向を貫き、さらに新たなテクノロジーに挑戦する先進的な企業と言えるだろう。

F8での発表から既に2か月が過ぎたが、1-800 Flowersの社長、クリス・マッカンによれば花束を注文できるチャットボットは引き続き好調のようだ。現在、チャットボットの注文の70%以上は新規顧客によるものとのことだ。アーリーアダプターは通常の顧客層と比較して若い傾向にあるという。

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「新規顧客はすでにFBメッセンジャーのプラットフォームを使用しているので、このサービスに移行しやすい。花の注文は1分以内で完了するくらいスムーズに注文できるんだ。」と彼は言う。

注文数も増えている。1-800 Flowersが採用する3つの新しいAIツール(チャットボット、アマゾンAlexaとの統合、そしてIBM Watsonのオンラインコンシェルジュサービス)が数万人規模のユーザーを獲得しているという。

3か月間にわたる開発を経て、現在のチャットボットには2つの機能がある。1つは顧客の注文をこまめに取る点、もう一つはバーチャルのコールセンターで待機するヒトのカスタマーサポートにエスカレーションする点である。時期によるが、ヒトによっても1,000~3,500ぐらいのメッセージがあるそうだ。

他のチャットボットが自由な雑談ができる一方、1-800 Flowersはシナリオに沿った会話を行う。複数選択肢から正解を選択するテストに似ているかもしれない。マッカンが言うには、これは意図的にユーザーフレンドリーに設計した結果とのことで、「我々の最大の関心は、新しいチャネルによって得られるユーザー体験がどのようなものかに尽きる。」とつけ加えた。

現時点ではこのチャットボットは完璧とは言い難い。例えば、配達日を変更するというシナリオからはずれたら、残念ながらチャットボットは話についていけなくなる。時には、注文をキャンセルするために、最後まで会話を続けたにも関わらずわざわざ最初から会話を始めないといけないこともしばしば起こる。

しかし、これらの欠点を抜きにすれば、消費者からの反応は上々と言える。チョコレートブランドのFannie Mayや、グルメギフトカードのHarry&Davidなど、他のブランドもチャットボットを計画しているようだ。

少なくとも現時点においては、1-800 Flowersの取り組みは好意を持って受け止められており、会社側では消費者がどれだけボットを快適に感じているか、驚きを隠せないらしい。「特にミレニアル世代の消費者は、ヒトよりもロボットと交流したがるのかもしれない。」

上記の取り組みはやがて、1対1のマーケティングに向かっていく。ユーザーがどのように商品を購入するのかリアルタイムデータを得る方法にもなり、広告宣伝へのフィードバックにつながる。

ビジネスは話をすることだけでなく、聴くことも大切だ。「ユーザーは明らかにメッセージプラットフォームに時間を費やしており、彼らの向いている方向に自分たちも向かうべきなんだ。」と彼は述べている。